PTC Creo Elements/Direct Draftingは、ひとつの独立した2次元CAD製品です。2次元設計と図面作成の用途で使います。3次元CAD未導入のユーザーにおいてはメインの設計ツールとして使っているところもあります。後述のようにPTC Creo Elements/Direct ModelingのAnnotationを補完するツールとして使われる場合もあります。
DraftingとAnnotationについて
Draftingが、ひとつの独立した2次元CAD製品であるのに対してAnnotationは、3次元CAD(PTC Creo Elements/Direct Modeling)の中に含まれている2次元図面作成機能です。製品名では無く、機能の名前です。3次元で設計して2次元図面を作成する場合に、このAnnotationを使って図面化する作業が必要です。
機能
機能の違いについて大まかに挙げると、以下の「図面を仕上げて出力する」機能はどちらにも共通して存在します。
寸法入力
注記入力、シンボル入力
図面出力(プロット)
Draftingは2次元CADなので、何も無い状態から2次元構想図、組立図、部品図を作成するための図形の描画機能が充実しています。また、構想図から部品図にバラしたり、部品図から組立図を作成したりもできます。Annotationにも一部2次元図形の描画機能はありますが、あくまで補助的なものです。
Annotationは、3次元モデルに連携した2次元図面を作成するための機能です。3次元モデルを投影させて、2次元要素を作成します。3次元モデルが変更された場合に、ビューを更新することで2次元要素を追従させることができます。
データ
データフォーマットは両者共通で、MIファイルと呼ばれています。AnnotationのMIファイルをDraftingで開いたり、その逆も可能なので、設計プロセスのなかで最適なツールを併用して使えるというメリットがあります。
例えば、従来からのDraftingユーザーでは、
Modeling→Annotation→Drafting
の様に、ビューの配置まではAnnotationで行い、仕上げは使い慣れたDraftingで行うというユーザーもいます。
また、Draftingで作成したシンボルや図枠をAnnotationで利用することもできます。
※データに関しては上位互換がサポートされており、双方向にやり取りする場合はDraftingとModelingのバージョンを一致させておく必要があります。
歴史
Creo Elements/Direct Draftingの歴史は長く、今から30年も昔の1985年に発表されています。その当時の名前はME10と言い、今でもそちらの名前の方が通りが良い場合があります。
Creo Elements/Direct Modelingは、1992年に当時の製品名でSolidDesignerとして発表されました。ただし、最初の頃はAnnotation機能が有りませんでした。
SolidDesignerで3次元モデルを作成して、2次元図面化するためにはME10の併用が必須でした。それからしばらくして、追加モジュールとしてAnnotationが登場し、SolidDesignerのみで図面化まで完結できるようになりました。
さらにその後、Annotationが標準機能の中に組み込まれ、今に至ります。