従来、同社では設計提案や打合せ、組立てなどもすべて2次元図面をもとに行っていた。しかし複雑な機構を2次元で把握するのは設計者自身にとっても難しく、まして設計意図を他者に伝えるのは困難を窮めていた。そのため、打合せや承認に多大な時間がかかり、製造では干渉や強度不足、部品不足などのトラブルが発生。意思疎通が不十分のまま進行し、立合検査時に仕様変更を求められるケースも少なくなかった。
「だからこそPro/ENGINEERのデモを見た瞬間、“欲しい!”と思ったのです。“我々が求めていたのはこれだ”、と。もちろん3次元で見せるビジュアル効果も重要でしたが、それ以上にデータが完全に一元化されている点が大きかった。これなら2次元図面の限界を超えられると思ったのです」(矢田谷氏)。それは直感だった。産業機械分野で障壁となっていた前記の多くの課題を、Pro/ENGINEERの3次元設計でクリアできると矢田谷氏は考えたのである。その直感は的中した。1998年に導入されたPro/ENGINEERは、わずか半年の準備期間を経て本格稼働。導入後1年が経つ頃には同社の設計製造フローを一変させ、圧倒的な効率化と省力化、品質向上、ひいては強力な他社との差別化を実現していたのである。
使えば使うほど実感できる設計製造業務の効率化